2017年1月27日金曜日

ギターの材料

昨日は午後から晴れてきましたが、今日は朝から快晴です。日の出も7時前になり、プラハの郊外に差し掛かる事には、朝焼けが見えるようになりました。今朝のフンポ村は-7℃、最高気温は-3℃の予想。一時の寒気は去っています。この週末は比較的暖かくなりそうです。

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さて、ギターの材料のお話です。

しばらく前から日本でも騒がれていますが、ローズウッド(紫檀)がワシントン条約(CITES)の取引制限になった。今年の1月2日から。

ローズウッドってのは、ギターのサイド・バックの材料として最も使われている。硬い木で音のはね返りがいいからだ。

以前はブラジル産のローズウッド(ハカランダ=Jacaranda)が規制対象だった。だからこの材料を使ったギターはとんでもない価格なんだ。ちなみに、マーチンD-45(最高峰のキラキラギターね)を例にとって価格をみてみると、

①インディアン・ローズ+シトカ・スプルース 約70万円
インディアン・ローズ+アディロンダック・スプルース 約100万円
③マダガスカル・ローズ+アディロンダック・スプルース 約140万円
④ハカランダ+アディロンダック・スプルース 約200万円
※いずれもイシバシ楽器のサイトで調査(造りも違うので、あくまで参考価格)

この価格からすると、同じトップ材であればサイド・バックの差はほぼ100万円(②と④の差)ってことになる。

ちなみに、マーチン社のギターでは1969年以前のモデルはハカランダを使用しているが、材料の枯渇のためにインディアンローズに変更されたもの。最近になって、マダガスカル・ローズがハカランダの音響特性に近いということで注目されていた。それでも差額はなんと40万円。

ローズウッド全体が規制されると、一様に価格が高騰することは間違いないな。メーカーも便乗して値上げするだろうからね。(在庫はたっぷりあるのに....)

僕がフォルヒを発注したのは2年半前。サイド・バック材はマダガスカル・ローズをおごった。日本で購入すると、マダガスカル・ローズのオプションはプラス185,000円。え~っ、いいギターが一本買えるじゃん.....ってな価格だ。マーチンに比べれば半値以下だけど。更にトップ材はアディロンダック・スプルースにしたので、更に8万円の追加だ。

こんな仕様のギターはそろそろ買えなくなるな。
それでもギターメーカーは最適な音響素材のローズウッドを使わざるを得ない。それを売らないと会社が生き残れないからね。これを客が負担するのか、メーカーがうまい抜け道を探し出すのか。ちょっと注目しておきたいところだ。

もう一つ、ワシントン条約で苦労する楽器に二胡がある。中国のバイオリンみたいな楽器なんだが、人の声に最も近い楽器と言われている。そのビブラートの美しさに魅了されて練習したのだ。

この二胡、ギターでいうトップにはニシキヘビの皮が使われている。これが規制対象なんだ。空港の税関には時折持ち込み禁止対象として展示されていることがある。大きいうろこの厚い皮でつくられた二胡はやっぱり高価だ。もちろんサイド・バックにあたる木材も紫檀(ローズウッド)・紅木(マホガニー)を使っていれば、ずいぶん値がはる。そういえば、駒にも紫檀を使ったりするな。

楽器に関しても世知辛い世の中になってきた。種を絶滅から守るのは必要なんだが、何かうまい方法はないものだろうか。

さて、週末になりましたね。良い週末をお過ごしください。

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